APC Automation blog

ネットワーク自動化支援のAutomation Coordinatorを提供する、エーピーコミュニケーションズ ACTの自動化ブログ

AnsibleでWindowsを自動化する

AnsibleでWindowsを自動化する

Ansibleが管理できる対象は幅広いですが、Windowsもその例外ではありません。以下では、Ansibleを用いたWindowsの構成管理とその特徴について、その概要をご説明します。

AnsibleはWindowsに対してなにができるか

はじめに、Ansibleを用いてWindows (Windows PCおよびWindows Server) に対して行える処理について解説します。以下の処理は、AnsibleネイティブのWindowsサポートを用いて行える内容です。

  • Windowsマシンからの構成情報取得
  • アプリケーションのインストールおよびアンインストール
  • Windows機能を有効、または無効にする
  • Windowsサービスの開始、停止および管理
  • ユーザーやグループの管理
  • Chocolateyを介したWindowsパッケージの管理
  • Windows Updateの管理とインストール
  • リモートサイトからのファイル取得
  • 作成したPowerShellスクリプトをプッシュして実行

このように、以前はActive Directoryとエージェント型の構成管理ツールがなければ行えなかった処理が、エージェントレス型のAnsibleを用いて行えるようになっています(なお、AnsibleからActive Directoryおよび、Azure ADの操作も可能です)。

必要なコンポーネントについて理解する

WinRMの構成概要
(出典: Ansible実践ガイド第3版 著: 北山晋吾、佐藤学、塚本正隆、畠中幸司、横地晃[インプレス刊] P224 Figure 5-3 WinRMの構成概要)

WindowsSSH経由の管理が想定されていないため、Windowsのリモート管理機能である「WinRM (Windows Remote Management)」を用いて、AnsibleからWindowsに接続、管理を行います。必要なコンポーネントは以下の4つとなります。

(1) WinRM

SOAP (HTTPまたはHTTPS) ベースのWS-Managementプロトコルを経由して、ターゲットノードに接続します。

(2) PowerShell

高度な管理や操作をコマンドラインから行える、Windowsに標準で付属するツールです。

(3) Windows Management Instrumentation

コマンドラインスクリプト言語から、Windowsの設定情報やコンピュータの状態などにアクセスするための標準仕様です。

(4) pywinrm

WinRMサービスに接続するためのPythonのクライアントライブラリです。これを利用することで、ターゲットノードに対して、WMIデータの取得やPowerShellスクリプトの実行、バッチ処理が可能となります。

Windows側の準備

Windows側の準備

はじめに、管理されるWindows PCまたはWindows Server側は、以下の準備を行っておく必要があります。

PowerShell 3.0以上(および対応する.NET Framework 4.0以上)がインストールされている WinRMでコントロールノードからの接続が許可されている PowerShellのリモート実行が許可されている 管理者グループに所属するAnsible接続用ユーザーが登録されている

上記に対応し、Ansibleで管理可能なOSは以下となります (2022/5現在)。

なお、Windows 11はAnsible公式ドキュメントでは管理可能なOSとして記載されていませんのでご注意ください (2022年5月現在)。

Windowsホストの自動化例

以下では、Windowsホストに対する構成管理を自動化した例について紹介します。

シーメンス

ドイツの大手電機メーカー、シーメンスWindowsベースの環境でしたが、LinuxベースのAnsibleを用いて以下の管理ならびに自動化を実現しました。 主にWindows PCならびにWindows Serverに対するPKI環境(デジタル証明書、通信の暗号化、スマートカードなど)の最適化および自動化

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Ensono

アメリカ・イリノイ州のITマネージドサービス企業であるEnsonoは、Ansible Tower (当時) を導入前に、管理するサーバーに対してWindows Server 2016を実装するのに8週間を要していました。Ansible Tower導入後は、Windows Server 2019プレリリース作業の90%を2日で完了させました。

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Agile Defense

アメリカ政府機関に対してITサービスを提供する、アメリカ・バージニア州Agile Defenseは、自社ソリューション「Compliance as a Service (CPaaS) 」の基盤としてAnsibleを採用し、構成管理機能を利用した脆弱性監査を提供しています。監査対象には、Red Hatプラットフォーム、VMwareハイパーバイザーなどとともに、Windowsも監査対象としています。このサービスにより、ある顧客が監査に費やす時間を98%削減しました。

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この他、エージェントレスであるAnsibleの特性を生かして、WSUS (Windows Server Update Services) に代わってWindows Updateの適用を行う例などもあります。


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ACTは株式会社エーピーコミュニケーションズ(APC)の自動化に特化したチームです。現在は特にネットワーク自動化に重点を置いています。
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