自動化プラットフォームであるAnsibleは、処理をYAMLベースのプレイブックに記述するため、高度なプログラム言語を用いる必要がありません。しかし、全ての処理を一から設定する場合は、多くの学習コストと工数が必要になる場合があります。
Ansibleでは、「コミュニティが作成したコレクションやロール」が共有され、無料で利用できる仕組みが提供されています。以下でご紹介します。
Ansible Galaxy概要
Ansible Galaxy | |
---|---|
利用できるユーザー | 無料および有料ユーザー |
利用方法 | SaaS |
インターネット経由での利用 (SaaS) | 可能 |
Red Hat認定のコレクション提供 | 不可 |
コミュニティ作成のロール利用 | 可能 |
Ansible Galaxyとは、Ansibleコミュニティが開発したコレクションやロールの検索、ダウンロード、共有が行えるサイトです。
Ansible Galaxyは、コミュニティベースの共有サイトであり、「Red Hat Ansible Automation Platform」の有償契約がなくても利用できます。コミュニティが作ったコレクションやロールを無償で利用できます。また、自身が作成したコレクションやロールをアップロードし、コミュニティメンバーと共有することもできます。
なお、Red Hat認定コレクションが提供される「Automation Hub」ならびに、Automation Hubを社内ネットワークで利用できる「Private Automation Hub」は、Ansible Automation Platform (AAP) サブスクリプション契約の有料ユーザーのみに提供されます。
Ansible Galaxyを利用するメリットは、以下の4点が挙げられます。
- (1) 多数のコレクション・ロールの配布
- 2022/6現在、1,500以上のコレクションと2万9,000以上のロールがAnsible Galaxy上で配布
- (2) 必要かつ信頼性の高いコレクション・ロールの検索性が高い
- コレクション・ロールにはタグが付与されており、検索性が高い
- 評価や、ダウンロード数などが表示されているため、ダウンロードする前に、定評あるコレクション・ロールか、そうでないかを判別できる
- (3) 工数の節約が可能
- コレクション・ロールを1から作るのと比べて、工数を節約可能
- (4) 無料での提供
- Ansible Galaxy利用に際して、費用は必要ない
なお、Ansible Galaxyを利用する際には、「動作保証がない」という点について留意しておく必要があります。
- Ansible Galaxy上で配布されているコレクションやロールのうち、コミュニティベースで作成されたものは、動作保証はありません。
- また、想定しない動作をした場合のサポートや、損害が生じた場合の補償もありません。このため、自己責任での利用が求められます。ダウンロードしたコレクションやロールをテストした後に本番環境で利用しましょう。
- なお、ダウンロードしたコレクションやロールがそのまま利用できない場合は、開発元やコミュニティに問い合わせを行う、または自身でコレクションやロールを修正して利用可能な状態にする必要があります。
Ansible Galaxyを利用する
アクセスする
- https://galaxy.ansible.com/ にアクセス
- アカウント作成やログインを行わずに、Ansible Galaxyを利用できます。
- なお、下記で紹介しているMy ContentやMy Importsを使用したい場合は、アカウント作成・ログインが必要です。
必要なコレクション・ロールを探し、ダウンロードする
左側の「Search」からコレクション・ロールの検索が可能。また、中央の「Most Popular」の下にカテゴリ分けされたリンクから、人気の高いコレクション・ロールへのアクセスも可能。
Searchボタンをクリックすると、コレクション・ロールの一覧画面と、検索窓が表示されます。
- コレクションまたはロール名をクリックすると、詳細について確認できます。
- 下記コマンドでインストールできます。
- ansible-galaxy collection install コレクション名
- ansible-galaxy role install ロール名
- コレクションまたはロールのカスタマイズが必要な場合は、自分で修正できます。修正後、GitHubでプルリクエストを送り、マージされれば、他のユーザーもあなたが修正したロールが利用できるようになります。これは、Ansible Galaxyのコミュニティの貢献にもつながります。
Ansible Galaxyの他の機能
- Community
- コレクション・ロールの作者(Author)を検索できます。
- My Content
- 自分がアップロードしたコンテンツが表示されます。
- My Imports
- Ansible Galaxyに自分が作成したロールをインポート(アップロード)した際のインポートプロセスが表示されます。
- Preferences
- 自身のアカウントページです。登録メールアドレスの設定、API Keyの表示、通知の設定などが行なえます。
まとめ
以上、Ansible Galaxyの概要ならびに画面について紹介いたしました。Ansible Galaxyは、「多数の選択肢がある」「検索しやすい」「工数の削減ができる」「コストがかからない」といったメリットがあります。
反面、コミュニティが作成・配布するコレクション・ロールは信頼性が高いとは限りません。例えば、インストールしたロールが古いAnsibleのバージョンにしか対応していない、といった理由で動作しない場合は、自身で修正する必要があります。また、インストールして利用したことにより被害が生じた場合も補償はありません。よって、本番環境で利用する前には、注意が必要です。
上記のデメリットを考慮しても、コミュニティが作成したコレクション・ロールを利用できる点は大きなメリットです。よって、「常に完璧に動作するものが提供されているわけではない」という前提に立ち、活用をするのがよいでしょう。
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