前回は、近年よく取り上げられている「デジタル人材の不足」や「2025年の崖」といった言葉について、そもそもデジタル人材とはどのような人で、なぜ、そしてどれぐらい不足しているのかを、当社が実際にお客様から伺った事例を交えて様々な課題をご紹介しました。
(前回の記事はこちら) automation.ap-com.co.jp
では、デジタル人材不足を取り巻く課題に対して、どう解決していけば良いのでしょうか。 後編となる今回は、解決するためにどういった手法があるのかを、私たちAPCが提供するITインフラ自動化サービスと組み合わせながらご紹介します。
デジタル人材不足の対処法、どこから手を付ける?
前編では、デジタル人材の不足がビジネスに及ぼす影響について述べてきました。この負のスパイラルを抜け出したい、と思った時に、どこから手を付ければよいのでしょうか?
デジタル人材を採用するか、社内で育成するか
シンプルな対策として募集要項や選考基準に、デジタルスキルを組み込んで採用活動を行います。ただし、デジタル人材はどの企業からも求められているので、他社との競争が激しくなり、結果としてコスト (賃金、採用活動費) がかさむ可能性があります。採用以外の選択肢として、社内の人材を育成し、デジタルスキルを身に着けさせることが挙げられますが、育成カリキュラムの整備、研修の開催、業務の調整などが発生します。
外部の専門家の力を借りる
自社での人材採用、育成が困難な場合は、私たちAPCをはじめとしたスペシャリストを頼るという選択肢も有効です。先端技術に習熟し、多くの企業をサポートしてきた豊富な経験を持つパートナーを選ぶことで、デジタル対応を加速させることができます。
ITインフラ管理の効率化、省力化のための自動化という発想
ここからは、私たちAPCが提供するデジタル領域のサービスのひとつ、ITインフラ管理の自動化について紹介します。従来からのレガシーなシステムの管理を自動化することで、時間とコストを削減し、正確で柔軟な運用が可能になります。
自動化された運用作業は、人間のケアレスミスなどが生じる余地がなくなり、品質を一定化できます。これにより、運用におけるトラブルを減らすことができます。また、人手ではどうしても作業に時間がかかるところ、自動化の仕組みを活用することで、複雑な作業であっても素早く実行できます。さらに、複数の機器を同時に操作できるため、作業人員も減らすことができます。時間を短縮し、人員を減らすことは、イコールコスト削減です。自動化に投資することで、結果として管理コストを低減できます。 ここまで、デジタル人材とはどのような人か、なぜ不足しているのか、という現状を整理しました。また、不足を補うためにプロフェッショナルサービスを利用するメリットを紹介しました。ここから、インフラ自動化のための具体的なソリューションを紹介していきます。
Ansibleによるネットワーク自動化という選択
ITインフラ管理を自動化するための仕組みは構成管理ツールやIaC (Infrastructure as Code) と呼ばれ、代表的なものに、Ansible、Chef、Puppetがあります。APCでは、Ansibleを採用した自動化ソリューションを提供しています。
Ansibleは、オープンソースの構成管理ツールです。Ansibleは管理対象の機器に特別なソフトウェアをインストールする必要がなく (エージェントレス)、機器がもともと持っているリモート管理の機能を活用できます。 Ansibleでは管理対象の機器への操作 (設定変更、バックアップなど) を、「プレイブック」というファイルに記述します。プレイブックを作成すれば、定常的な運用作業を、ミスなく正確に、自動的に繰り返すことができます (冪等性の担保)。効果的なプレイブック作成には高度なスキルが求められますが、APCは豊富な開発、運用実績を有しています。
Ansibleについてのより詳しい紹介は、以下、当社エンジニアによる記事をご覧ください。 automation.ap-com.co.jp また、プレイブックの概要や書き方については以下で詳しく説明しています。 automation.ap-com.co.jp
APCのソリューション事例
事例1 株式会社JALインフォテック様「自動化・省力化によるビジネスの加速」
お客様の課題意識
JALグループのIT中核会社である株式会社JALインフォテック様では、プライベートクラウドを構築し、SDN (Software Defined Network) による管理、運用を行っています。しかし、設定変更がGUIによる操作だったため、作業担当者の負荷が高まるという状況に陥っていました。
APCのソリューション
この状況を解決するために、「ネットワーク自動化チーム」を組み、APCと共同でAnsibleを使ったSDN製品の設定変更作業の自動化に着手しました。
インフラ自動化の効果
SDN機器の設定変更を自動化した結果、作業時間を80%削減するという劇的な改善を達成することができました。また、APCの「自動化トレーニング」サービスを利用し、技術力の向上だけではなく、「ネットワーク領域の自動化文化の醸成」にも取り組みました。
より詳しい事例のご紹介は、特設ページ (https://www.ap-com.co.jp/service/casestudy/case02/) をご覧ください。
事例2 株式会社アット東京様「自動化からはじめる組織変革」
お客様の課題意識
アット東京様は、高度な設備保安技術を活用したデータセンターサービスを提供しています。これまでも仕組み化や自動化の内製化に力を入れてきましたが、それを迅速に実現するためには現在の社内リソースと経験が不足していました。
APCのソリューション
そこで、APCのネットワーク自動化サービス「Automation Coordinator」を採用し、環境整備やシステム開発のためのルール作り、体制作りなどに共同で取り組んできました。
Automation Coordinator - ITインフラの自動化を支援 https://www.ap-com.co.jp/network-automation/
インフラ自動化の効果
ユーザーとベンダーという立場を超えて、一緒にシステムや仕組みを作っていくことで、自動化やブラックボックスの撲滅など、技術を導入するという手段にとどまらず、「自分たちで素早く変化に対応できる組織」の構築を目指した取り組みが続いています。
より詳しい事例のご紹介は、特設ページ (https://www.ap-com.co.jp/service/casestudy/case07/) をご覧ください。
今回の2記事では、「デジタル人材の不足」について取り上げました。デジタル人材の定義や、不足している理由について解説し、その解決策の一つとして、ITインフラ管理の自動化ソリューションを紹介しました。
ITインフラ自動化支援サービス「Automation Coordinator」
お客様ごとの最適な業務プロセスコンサルティングを含めたAnsibleによる自動化の導入(実際の運用)、ハイスキルなエンジニアによる並走型支援、クライアントワーク、チケットサポート、最終的にはお客様が自動化を自律して運用するためのスキル習得トレーニングまでをパッケージ化して提供するITインフラの自動化支援サービスです。